
モラルってなんだろう 後編
最近の人は老若男女問わず冷たいと言われる。
確かに道を歩いていて知らない人と声を交わすなんてまずない。だから声をかけられると何だこいつ?と思ってしまう。でもこういう時に声をかけてくる人は大抵すごく困っている人なので、まあできる範囲で親切にする。逆にこっちが助けてもらったりすると、その人が仏様のように見えるくらいありがたく思ってしまう。
つまりそのくらい赤の他人との関係なんて、希薄だ。昔はそうではなかった、と主張する人は多いみたいだけど、太田としては正直よくわからない。
ただ見方を変えて、赤の他人じゃない人、つまり仲の良い人、友達との関係はどうなんだろうと考えると、必要以上にベタベタしているように感じる。なんでもかんでも意見が合わなければ気がすまないようだし、逆に自分も嫌われないように必死で足並みを揃えようとする。これじゃ疲れるよ。仲のいいお友達に嫌われるからなんなんだ、と言いたくなる。当たり前だけど、いくら気の合う仲間だって、何から何まで好みが合うわけないし、ふとしたことでカチンとくることもある。そういうのがわかっていない人がいるみたいで、ちょっとした意見の食い違いで(または自分の思い通りにならないと)すぐに「価値観が違う」「キャラが合わない」とこぼす。価値観が違うなんて当たり前だと思うけど。仲のいい人ほど距離置くべきところはわからなきゃいけない。困っているときに助けあうのが友情だ、と主張する人がいるけどそんなのは偽善もいいところである。何から何までわかり合うのが親友、て言うけれど、大多数はわかり合ってるつもりになってるだけだよね。
「遠くの親戚より近くの他人」ということわざがあるけれど、今は遠くても何でもとにかく気心知れる人、という感じがする。だから見ず知らずの人には冷たい、となるのだろうか。でも親しくてもそうでなくても、結局のところ他人は他人なんだから、そこがわかってないと、自分ばっかり損しているような気分になる。だからと言って、あんまり人間関係に淡白すぎちゃうと、太田みたいに誰からも「冷たい人」と言われるようになるけどね。
モラルの話が結局人付き合いの話になってしまった。
by 太田ルイージ