
サッカー中継の実況について
子どもの頃から割とサッカーが好きだった。直接部活をやってたことはないけど、結構近所の子どもと球を蹴って遊んだし、TVゲームのサッカーも、やりこんだ。丁度、その当時Jリーグが開幕して、テレビでも熱心にサッカー中継していたので、よく観たりした。
日本代表の試合もよく中継されていた。あの頃学校の同級生も先生もみんなでワールドカップの予選に注目していたような気がする。懐かしいですね。
ただ、日本代表の試合は、やたらとテレビ局サイドが盛り上げようとしているみたいで、わざとらしい実況が耳について仕方がなかった。選手がゴールすると馬鹿みたいに「ごーぉぉぉぉぉる!」と叫ぶ。あれは何なんだろう。スタジアムの盛り上がりを伝えたいのだろうか。でもこっちはコタツに入りながら、比較的低いテンションで観戦しているのだ。正直やかましい。赤ちゃんのいる家庭じゃ、やっと寝付いた子どもが泣き出して、母親が困ってしまうような気がする。おまけに点の取り合いになったりすると、叫びすぎて、声がガラガラになってしまうアナウンサーもいた。ここまできたらプロ失格ですよね。
だいたい実況なんだから、試合の様子をもう少し伝えて欲しい。ゴール前の混戦で入ったゴールなら、誰が入れたか確認するとか、言うことは他にもあるだろうと思う。ひどいときには解説の人が「今のゴールは○○ですね」とフォローしていた。
この”ゴール時の無意味な叫び”が耳につくようになると、他のところも気に入らなくなってきて、だんだん観ていて胃が重くなるようになってきた。例えば試合の日の2日前くらいに誕生日の選手がいるとする。すると初めは、試合がこう着状態になったときの話の種として、「実は○○選手は、今日の試合の2日前に誕生日を迎えておりまして・・・」という話が始まって、今日の試合の意気込みを紹介したりする(いかに試合が重要か・バースデーゴールを絶対に決めたい!・・・これだけでも、気持ちが萎える。誕生日だからって特別頑張る選手なんかいない)そして、一度”お誕生日エピソード”を紹介すると、堰を切ったように言いまくる。例えばその選手がパスを受けると、「2日前誕生日を迎えた○○!」。フリーキックを蹴ったりすると「さあ、蹴るのは2日前誕生日を迎えた○○!」。なんだかこんなつまらない実況聞くくらいなら、観ないほうがいいような気もしてくる。
1998年フランスワールドカップに日本が初出場したとき、試合の中継は全てNHKが行った。これは本当に良かったと思う。別に特別NHKが好きなわけではない。けれど、NHKのアナウンサーはゴールが決まっても、決して叫んだりしない。これだけで本当に気持ちよく試合観戦ができた。このときのNHKはサッカーのことを何も知らない人にも知ってもらおうと努力していたようで、とても丁寧な解説が要所要所で行われていた。例えば試合中に大きくサイドチェンジしたりすると、実況が解説に「今のパスはどういう狙いがあるんですか」と率直に尋ねたりしていた。また、ハーフタイムの時には前半のゴールシーンや際どいオフサイドのシーンを、VTRで流してどうしてこうなったのかを検証したりしていた。(実際に解説の人が、画面にペンで丸をつけたり細かく巻き戻したりする)
だからサッカー中継はNHKが一番!と言いたい所だが、NHKのアナウンサーも時々率直さが行き過ぎて、明らかなミスパスに対して「いまのパスはどんな狙いが・・・」と馬鹿丸出しに質問して、解説を絶句させることがあった。観ていると別の楽しさがあってそれはそれで楽しいけれど、やっぱりサッカーを観るのは生が一番ということだね。最近はテレビで滅多にサッカーを観ないから良くわからないけど。
by 太田ルイージ