
夢の中で死ぬ
先日、友人が死ぬ夢を見た。正確に言うと、死後しばらく経って、ふと「そういえばあいつはもういないんだよな」と気づく夢だ。なにかの拍子に存在しないことを思い出し、置いてきぼりを食わされたような感覚。
もちろん霊感ゼロ太田は、こんな夢を見たからと言ってなにかに影響が出るわけでもない。しばらく会っていない友人だったが、少しして普通に生きていることが確認できた。
そういえば小学生の頃、太田はよく友人の夢で死んでいた。その友人は、クラスメートが出てくる夢を頻繁に見るらしく、よくその話をしていた。その中で太田はいつも死に役だった。それは例えばこんな話だ。
夢の中で友人は車に乗って、高速道路を走っている。すると後ろから太田が、猛スピードの
かけ足でやってくる。不気味に思った友人は、太田に石を投げつける。石は太田の足下に当たり、太田はずっこける。その後から車が来て、太田はその車に轢かれて死ぬ。
例え夢の中でも自分が死ぬのはいい気はしないけど、この友人の夢の場合は、あまりに荒唐無稽すぎるので、別に嫌な気もしなかった。そんな風に、結構な回数を死んだ気がする。休み時間なんかに「またお前死んだぜ」なんて言ってきたりした。
思い出してみると、結構おもしろい奴だった。ノートなんかに落書きをするのだが、ありえないくらい力のこもった漫画になっていて、それを恥ずかしがることもなく人に見せていた。あまり目立たなかったので、その頃は何とも思わなかったけど、今思うと本当に想像力にあふれた奴だと思う。今はそれこそ生きているか死んでいるかもわからないけど、きっと楽しくやっているに違いない。いまだに太田は死に続けているかもしれない。
(2009年2月07日更新)
by 太田ルイージ