
携帯メールアドレス
最近ものすごく後悔していることがある。それは携帯電話のメールアドレスが無意味に長いことだ。そのアドレスに設定したときは全く気にしなかったが、長いとすごく不便だ。人に伝えるときや、書類に記入しなければいけないときにすごく面倒だし、長い分余計に注意して見返さなければならない。アドレス交換の時に相手の携帯から空メールを送ってもらろうとしてうまくいかず、しかたがないので相手の携帯を借りて自分で自分のアドレスに送っても、2、3回宛先不明で戻ってきたことがある。
それでも何か特別な意味が込められているとか、何かしらの思い入れがあるのだったら、まだいい。長くても仕方ないか、と自分でも思えるだろう。けれど太田のアドレスにはそんなものはない。
なぜそんなアドレスなのかというと、それを説明するには、変える前のアドレスについて説明しなければならない。昔はメールアドレスは自動で「(自分の携帯番号)+ ドメイン」という形で割り振られて、太田はそれをそのまま使っていた。番号だけの組み合わせのアドレスは、ものすごい数の迷惑メール、ダイレクトメールがくるようになるのだが、それでも変えなかった。メールをする相手は大していなかったので、指定アドレス以外メールを受け取らないようにしていた。
だがそれでもどうしても変えなければならない時がきた。新しい機種に買い換えたのである。もちろん単に買い換えるだけならメールアドレスまで変える必要はない。だがそのときは、携帯会社ごと変えたので、今までのドメインは使えなくなってしまった。しかも、その頃は迷惑メールを防ぐため、自分の携帯番号を使ったアドレスも禁止となってしまっていた。初期設定で適当な名前のアドレスはあったが、ランダムな文字列のアドレスも味気ないので、あらためて考えてみることにした。すぐに思い付いたのが、前のアドレスをそのまま使うことだ。もちろん、前のアドレスは番号のみで構成されるので、メールアドレスとしては登録できない。というわけで、もっと広い目線でドメインも含めたアドレス全体に、新しいドメインをくっつけることにした。つまりこんな感じだ。
090××××××××@(前のドメイン).ne.jp@(今のドメイン).ne.jp
このアドレスにすれば、とにかく友達に変わったことを伝える時にすごく便利だと思った。「前のアドレスの後に@×××××をつけてね」というだけで済むのだ。しかもこれなら周りからは、奇抜なメールアドレスだと注目されるだろう、と思った。
しかし、すぐにこのアドレスは登録できないことがわかった。知っている人から見れば当たり前のことなのだろうが、まずメールアドレスには、@は1回しか使えない。そしてアドレスの最初の文字は数字ではいけないのだ。さらに字数がオーバーした。しかたがないので、字数を少し削り、先頭に適当なアルファベットをいれ、@はaに変換した。
なぜ、こんな中途半端なアイディアに固執して、別のものにする、という考えに至らなかったのか今思うと不思議である。当然こんなつぎはぎを当てたようなアドレスに誰がつっこみをいれるわけもなく、無駄に長い上に意味のわからないアドレスとなってしまった。これでは初期設定のランダム文字列と同じである。しかし後悔はしているくせに、変えようという考えはほとんどないのである。
by 太田ルイージ